エネルギーは目には見えないですが、必ず存在するものです。
太陽、電気、ガス、ガソリン、食べ物、生き物、光合成など、人が生きていく上でエネルギーは必要不可欠で、ありとあらゆるところにエネルギーは存在します。
また、ファシリテーションでなぜ「エネルギー」を扱うのか?
それは、エネルギーが場に影響を及ぼし、また、人と人のエネルギーがファシリテーションの結果や成果に影響を与えるためです。
本記事ではファシリテーションにおけるエネルギーの重要性とエネルギースパイラルが創出された状態についてご紹介します。
エネルギーとは
まず、「エネルギー」とは何でしょうか?
エネルギーとは、「ものが持っている仕事をする力」です。
仕事をする力とは「動く」という意味です。
すなわち、動いているものや、これから動こうとするものには、すべてエネルギーが存在しているといえます。
すべてエネルギーの集合体
物質の基本的構成単位である「原子」ですが、全ての原子は振動していると量子力学の世界ではいわれています。
物質は原子の集合体であり、原子は振動し、エネルギーを発しているということです。
すなわち、万物は、原子でできており、 全ての原子は振動しているということになります。地球上にあるありとあらゆるものが、エネルギーそのものであり、エネルギーの集合体であるといえます。
生物の最初の課題
生物(細胞)の最初の課題は「どのようにして周囲に存在するエネルギーを獲得し、生物が利用可能なエネルギーに変換するのか」というものでした。
そして、その課題を解決するために、最大のエネルギー源である太陽(光エネルギー)を取り込むこと(光合成)に成功し、異なる生物同士が融合を繰り返した結果、人間が誕生したといわれています。
人間はエネルギーに影響を受けている
ライブやイベントなど、人が集まり、盛り上がっている状況の時、ものすごいエネルギーを感じた経験が誰しもあると思います。
全てのものはエネルギーでできており、目には見えませんが、必ず存在し、人間に影響を与えています。
同時に、私たちは「エネルギーをいかに高めるか」という側面も生きる上で重要な要素であるということになります。
エネルギーを高めるために
『大学』の八条目の中に「修身・斉家・治国・平天下」があります。
その中で、まずは「身を修める(修身)」ということが肝要であると説いています。

また、「修身」という側面で、自分自身のエネルギーを高めることが重要だといえます。
では、いかに自分自身のエネルギーを高められるか?
仏教の「身口意(しんくい)」を例に自分自身のエネルギーの高め方について考えてみましょう。
身口意(しんくい)とは
「身口意」とは、仏教用語で、「身」=身体的活動と「口」=言語活動と「意」=精神活動をそれぞれ指します。
したがって、下記のように表すことができます。
- 身・・・立ち居振る舞い(+食べもの、運動、休息もここでは含みます)
- 口・・・言葉を発すること
- 意・・・心に思う働き
仏教において、身:立ち居振る舞い、口:言葉、意:心や思いに特に気をつけて、エネルギーレベルを高めておくことが重要だと説いているのです。

身:立ち居振る舞い
「身」においては、下記のような立ち居振る舞い、行動をすることによって、エネルギーが失われるといわれています。
- むやみに命を奪うこと
- 盗むこと
- 不倫をするなどの不貞行為
また、食べ物についても、ここでは取り扱います。
西洋の言葉で「You are what you eat」(あなたは”あなたが食べた物”でできています)という言葉があります。
食べ物が自分自身のエネルギーを作るという側面があるので、どんな食べ物を食べるかも重要なポイントです。
ハーバード大学が出している「Healthy Eating Pyramid」を例に考えてみましょう。(下図)

ここでは、運動をベースに、どんな食事が適切かどうかが記されています。
まずは、野菜・果物、良質な油、全粒穀物などのビタミン、ミネラルが土台にあります。
その上に、ナッツや豆、肉・魚などのタンパク質。さらに、その上に、チーズや牛乳などの乳製品、一番上は、バター、赤身肉、パンなどです。
どのような食べ物を身体に入れるか?
そして、食べ物によって人の身体が作られ、健康な体が高いエネルギー、パフォーマンスを高めます。
口:言葉
続いて「口」はどのような言葉を発するかということです。
下記のような言葉や態度をすることによって、エネルギーが失われるといわれています。
- ウソをつくこと
- 良く見せたりすること
- 悪口を言うこと
- 八方美人に振る舞うこと
意:心に思う働き
最後に「意」はどのような思いを抱くかということで、下記の言葉を発することによって、エネルギーが失われるといわれています。
- 相手に求めること(期待)
- 怒り憤ること
- 愚痴ること
特に、怒りや愚痴は、相手に「期待」をすることから生まれていることが多いです。
人間は期待する生き物です。期待を無くすことはできませんが、期待に気づき、その期待を手放し、怒り、憤り、愚痴を減らしていくことが肝要です。
さて、皆さんは、「身口意」の観点で自分自身のエネルギーを高めることができているでしょうか?
ファシリテーションにおいて、参加者のエネルギー、場のエネルギー、ありとあらゆるエネルギーを生かしながら、エネルギーの総和を高めていく必要があります。
そのためにも、まずは、自分自身のエネルギーレベルを上げていくことが重要です。
次は、エネルギーレベルが高まり、ありとあらゆるエネルギーが高まり合っている状態、エネルギースパイラルについて考えていきましょう。
エネルギースパイラルの源とは
その場のありとあらゆるエネルギーが高まり、エネルギーが成長・発展していく状態をエネルギースパイラルといいます。
それでは、エネルギースパイラルの源とは、何でしょうか?
自然の摂理(天の摂理)
「経営の神様」である松下幸之助さんが以下のような言葉を残しています。
私に言わせると、人間万事、世の中のすべては、天の摂理で決まるのが90%、後の10%が人間のなしうる限界だと思うのである。(松下幸之助) |
世の中のほとんどのことが「天の摂理」すなわち「自然の摂理」で決まるというのです。
また、続けて以下のような言葉も残しています。
つまり、私の言いたいことは、「絶対に無理をしない」と言うことなのである。宇宙大自然に逆らわず、むしろ宇宙や大自然に溶け込んで、これと一体になりきってしまう。これが人間の本当の姿であり、その結果現れてくるものが、世の中で言う成功とか成就とか、あるいは億万長者ということになるのではないだろうか。(松下幸之助) |
ここで注意しないといけないのは、「絶対に無理をしない」という言葉は、自分の理屈の「理」ではなく、自然の摂理の「理」であるということです。
自分の理屈ではなく、天の道理、摂理で判断をしていくこと、それが理に適っていると言っているのです。
すなわち、松下幸之助さんは、「自然」であること、自然と一体になることを大事にしていたといえます。つまり、自然と一体になる、自然と調和することが成功や成就につながるのです。
循環
この「自然と調和する」ことをエネルギースパイラルという観点で考えると「循環」という言葉に行き着きます。
そして、自然は常に循環しています。弱肉強食も含めて、循環することが自然と言えます。
また、循環しているものは、長く続いていて、成長・変化し、発展しています。
しかし、自然ではなく、自分の理屈で無理をすると歪みが生まれて、おかしな方向に向かっていきます。
つまり、持続的な成果や成長するためには、自然に逆らわずに、自然と調和し、循環している状態を目指す必要があります。
物事において、この「循環」を取り扱うことができれば、さまざまなエネルギーを循環させ、自然と大きくしていくことができます。
循環を人間関係という観点で考えていくと、下記のような図で表せられます。

左上のマトリクスは、自分が喜び、相手が喜ばないこと、すなわち「独りよがりのハッピー」になります。
反対に、右下のマトリクスは、相手が喜び、自分は喜ばないことなので、「私は我慢」という状態になります。
一番良い状態は、右上のマトリクスです。相手も自分も喜ぶ状態「みんながハッピー」な状態になることが「循環」している状態といえます。
では、循環するためには、どうすれば良いのでしょうか?
それは、エネルギー交換(循環)をする上では、まずは、自分より相手を喜ばせ、それが自分にも返ってくるような循環を生んでいくことが重要なポイントになります。
ファシリテーションのジレンマ
さらに、「循環」についてファシリテーションで考えてみましょう。

左上のマトリクスはファシリテーター側が準備すればするほど陥る領域です。
ファシリテーターとして「準備」をすることは重要です。
しかし、準備すればするほど、自分が準備したシナリオ通りに場をコントロールをし、成果に繋げていってしまいます。反対に、参加者は楽しさもなく、納得感もない状態になります。
また、右下のマトリクスでは、参加者側が自由に発言すればするほど陥る領域です。
参加者が自由に発言すればするほど、話は盛り上がり、楽しい状態になるかもしれませんが、成果に繋がる話し合いができているとは言えません。
そして、右上はファシリテーターも参加者もハッピーな状態です。
ファシリテーターとして「準備・計画」をし、さらに、参加者に応じて「臨機応変」に対応することで、自分の意見が大切なものとして扱われ、全体に生かされると参加者も感じ、楽しさや納得感を得ることができます。
ファシリテーターと参加者の皆さんがハッピーな状態を作るために、ファシリテーターとしてのあり方は「相手に感謝し、学び、調和に向かう」ことが重要です。すなわち、「すべてを生かす」というあり方が、ファシリテーターとして求められるのです。
まとめ
ファシリテーターとして、「すべてを生かす」ということが実践できれば、ファシリテーションから生まれるエネルギーレベルを最大化することでき、成果を最大にすることができます。
つまり、エネルギースパイラルの源は、「すべてを生かす」というあり方であり、自然と調和すること、すなわち「循環」することが、松下幸之助さんがいう「無理をしない」状態といえるのです。
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この記事を書いた人
様々な企業の経営者が集まり学びを深める天神塾にて10年以上に渡って進行を務めているファシリテーションの専門家。そのスキルを活かし、アルバイト面接から入った企業で、わずか1年後に役員になるなど成果が起こるメカニズムを体現する。